自由な視点。奥にひっこむ視点。

ある日のこと。夜中に子供が体調を崩し、うとうとしては起こされることを繰り返していた為か、その日は朝からへとへとだった。いきなり1日のスタートにゾンビ状態である。

その甲斐あってか、子供を保育園に送り届けた帰り道、突然、「現状の私の体なりにリラックスしきった状態」になった。脱力しておらず、力んでもおらず。素直な歩行。すると、視点がいつもと随分違うことに驚く。中に浮いたカメラから景色を見ているみたいな視界。

いつもの姿勢だって、視界に肩や胸や腕が入る訳ではない筈などころか、私は肩猫背なので、どちらかと言えばいつもの姿勢の方が目の位置は前方に出ている筈だ。けれど、「目の前に何もさえぎるものがない視界」だと感じる。

と、そこで、視界に歩行者が入る。そうすると体がわずかに「構える」ことに気付く。わずかで全体的な緊張だ。視点(の感じ)が奥にひっこむ。

「大丈夫。これも景色。」と思うと、再び視点がフリーに。顔見知りのおばあちゃんだったので、挨拶と共に入梅がどうのと通りすがりの世間話。

離人症のようでいて、それとは全然違う感じだけど、感覚を言葉にすれば離人症と診断されるだろうなぁという感覚。家に帰って玄関を開けると、自分の姿が鏡に映る。「なるほど。これが私かぁ〜。」という感じの、初めて自分の姿を客観的に見たような感覚。冷静なのに新鮮。新鮮なのに冷静。

以前にも、「すごく冷静で受動的な状態になることで、返って感情は鮮やかに感じられてすごく不思議。」という体感をしたことがあるのだけれど、これもまた新鮮で落ち着いた経験で面白かったです。

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